2007年07月03日
ヒトデ捕獲大作戦の結果はいかに・・・という話
こんなニュース見つけちゃいました。お魚ニュースといいつつ本日はヒトデの話です。
ニュースの概要だけ紹介しています。詳しい話はこちら
July 3, 2007 philstar.com
フィリピン政府と国際的な環境保護団体が協同でサンゴを食い荒らすヒトデの繁殖を食い止めようとキャンペーンを行ったそうです。そのヒトデは
crown of thorns starfish (COTS、オニヒトデ)という種類で、国内で最大の Sablayan(サブラヤン) の Apo Reef (アポリーフ) 付近での激増が問題になっていたとのこと。
クリーンナップ作戦は数回に分けて行われ、World Wildlife Fund for Nature (WWF) などの環境保護団体のボランティアダイバーや地元の漁師、タコ漁師、ダイバーズクラブのメンバーなどの協力を得て先月終了しました。
WWF の報告によると結果的に Apo Reef だけで5,212匹もの COTS が捕獲されたそうです。このヒトデは毎年夏になると急速に数が増え、ge-
nus Acropora(ミドリイシ類) といわれる貴重なサンゴを貪欲に食い荒らしていくそうです。
このヒトデの激増が始まったのは1970年代といわれ、2-3週間のうちに何万匹ものヒトデが突然現れるというすさまじい勢いが大問題となりました。
大量のヒトデを殺すのは残酷だと思うかもしれないが、自然のバランスを取り戻すことが必要だと WWF 会長 Lorenzo Tan 氏は強調します。そしてフィリピンのサンゴ礁は全体的にあまり状態がよくないので、ヒトデの数をコントロールする必要があり、手作業でヒトデを捕獲することがサンゴをダメージから守る上で最も現実的な方法だと語ります。
ところでヒトデの密集したトゲは長さ約5センチもあり、捕食者から身を守るのに効果的です。彼らの天敵は Napoleon wrasse(メガネモチノウオ)、Harlequin shrimp(フリソデエビ)、Giant triton(タイセイヨウカコボラ、フジツガイ科) などが知られていますが、1950年代からの乱獲により数は減ってきているのです。
しかし COTS にはまた別の重要な役割があると WWF Asia Pacific
Energy Policy Coordinator の Raf Senga 氏は指摘します。それは成長が早い種類のサンゴの成長を食い止め、成長が遅いサンゴの育成を妨げないようにしているという側面です。
地球温暖化のためだけでなくいくつかの要素の変化が重なって自然のバランスは乱れます。ヒトデの生存率のわずかな増加も、海水温の1度の違いもフィリピンのサンゴ礁にとっては驚くべき結果をもたらすものだと彼は語っています。
◆◇◆
オニヒトデというのは大きいもので直径約60センチにもなるそうです。体中を覆っているトゲには毒があり、刺されると激しく痛むそうなので要注意です。
大発生のメカニズムはまだよく分かっていないらしく、竹富島付近の礁では1平方メートルあたり100匹以上というかなりヒトデ密度の高い状態になったことがあるとか。こうなるとちょっとやそっとの駆除では追いつかずただの「間引き」にしかならないので、サンゴを食べつくさせてヒトデが餓死するのを待つしかないのだそうです。
温暖化のせいか鹿児島や和歌山で冬を越したオニヒトデも見つかっているとか。
南の島の自然誌 沖縄と小笠原の海洋生物研究のフィールドから
海洋動物の毒 フグからイソギンチャクまで
ニュースの概要だけ紹介しています。詳しい話はこちら
July 3, 2007 philstar.com
フィリピン政府と国際的な環境保護団体が協同でサンゴを食い荒らすヒトデの繁殖を食い止めようとキャンペーンを行ったそうです。そのヒトデは
crown of thorns starfish (COTS、オニヒトデ)という種類で、国内で最大の Sablayan(サブラヤン) の Apo Reef (アポリーフ) 付近での激増が問題になっていたとのこと。
クリーンナップ作戦は数回に分けて行われ、World Wildlife Fund for Nature (WWF) などの環境保護団体のボランティアダイバーや地元の漁師、タコ漁師、ダイバーズクラブのメンバーなどの協力を得て先月終了しました。
WWF の報告によると結果的に Apo Reef だけで5,212匹もの COTS が捕獲されたそうです。このヒトデは毎年夏になると急速に数が増え、ge-
nus Acropora(ミドリイシ類) といわれる貴重なサンゴを貪欲に食い荒らしていくそうです。
このヒトデの激増が始まったのは1970年代といわれ、2-3週間のうちに何万匹ものヒトデが突然現れるというすさまじい勢いが大問題となりました。
大量のヒトデを殺すのは残酷だと思うかもしれないが、自然のバランスを取り戻すことが必要だと WWF 会長 Lorenzo Tan 氏は強調します。そしてフィリピンのサンゴ礁は全体的にあまり状態がよくないので、ヒトデの数をコントロールする必要があり、手作業でヒトデを捕獲することがサンゴをダメージから守る上で最も現実的な方法だと語ります。
ところでヒトデの密集したトゲは長さ約5センチもあり、捕食者から身を守るのに効果的です。彼らの天敵は Napoleon wrasse(メガネモチノウオ)、Harlequin shrimp(フリソデエビ)、Giant triton(タイセイヨウカコボラ、フジツガイ科) などが知られていますが、1950年代からの乱獲により数は減ってきているのです。
しかし COTS にはまた別の重要な役割があると WWF Asia Pacific
Energy Policy Coordinator の Raf Senga 氏は指摘します。それは成長が早い種類のサンゴの成長を食い止め、成長が遅いサンゴの育成を妨げないようにしているという側面です。
地球温暖化のためだけでなくいくつかの要素の変化が重なって自然のバランスは乱れます。ヒトデの生存率のわずかな増加も、海水温の1度の違いもフィリピンのサンゴ礁にとっては驚くべき結果をもたらすものだと彼は語っています。
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オニヒトデというのは大きいもので直径約60センチにもなるそうです。体中を覆っているトゲには毒があり、刺されると激しく痛むそうなので要注意です。
大発生のメカニズムはまだよく分かっていないらしく、竹富島付近の礁では1平方メートルあたり100匹以上というかなりヒトデ密度の高い状態になったことがあるとか。こうなるとちょっとやそっとの駆除では追いつかずただの「間引き」にしかならないので、サンゴを食べつくさせてヒトデが餓死するのを待つしかないのだそうです。
温暖化のせいか鹿児島や和歌山で冬を越したオニヒトデも見つかっているとか。
南の島の自然誌 沖縄と小笠原の海洋生物研究のフィールドから
海洋動物の毒 フグからイソギンチャクまで
Posted by うおみ at 18:11│Comments(0)
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