南極の魚の冬の過ごし方とは・・・という話
こんなニュース見つけちゃいました。
ニュースの概要だけ紹介しています。詳しい話はこちら(キュートなお顔が載ってます。)
Mar. 5, 2008
Science Daily
科学者達は南極には冬を生き抜く戦略として冬眠に似た状態になる種類の魚がいることを発見したそうです。
British Antarctic Survey (BAS、英国南極調査研究所) と Univer-
sity of Birmingham(バーミンガム大学) の科学者の研究により、南極海に生息するタラの一種 Notothenia coriiceps は、生態的な戦略で夏にはエサを多く食べ成長し、長い冬の間はエネルギー消費を最小限にするという季節的な「切り替え」を行っていることが示されたのです。
南極海の魚は、ほとんど凍りそうな水中で生きていくためにその代謝率は非常に低く、血液には不凍タンパク質が含まれていることは科学者によく知られています。今回の研究では、すでに成長率、代謝率、活動量が極めて低い 'slow lane' に生息する南極の魚が冬にはさらにこうした代謝過程を低下させるということが分かったわけです。
オーストラリアは University of Queensland(クイーンズランド大学) の Hamish Campbell 博士は、冬眠はかなり複雑なものであると語ります。魚は普通水温と関係なく代謝率を変化させることはできず、冬水温が低くなるほど魚は眠っているような状態になるといいます。しかしこの南極のタラが興味深いのは、たとえ水温がさほど低くならなくとも冬になると彼らの代謝率が落ちるということです。これには明るさが関係しているのではないかと彼は言います。夏の間明るい状態が24時間続き冬になると真
っ暗になるという南極海の現象が魚の代謝率を落していると考えられるのです。
BAS の Keiron Fraser 博士によるとこの研究によって南極海の魚が冬をどうやって過ごすのか初めて明らかになったと言います。科学者は南極で初めて野生の魚を追跡し心拍数を観察することができる最先端技術を駆使してこの調査を成功させたそうです。その結果魚たちは南極の短い夏を最大限活用して冬を乗り越えるために十分なエネルギーを得て、冬に入ると冬眠のような状態に入ることが分かりました。この状態はエネルギー要求量をギリギリまで減少させるためのメカニズムだったのです。そして Fraser 博士は自分達が今後答えを見つけなければいけない興味深い問題は、なぜこれらの魚は冬でもエサを食べることができるにもかかわらずほとんど食べなくなるのか、ということだと語っています。
魚達がなぜ冬に冬眠のような行動をとるのかその理由ははっきりとは分かっていませんが、エネルギー的な利があるのは明らかです。科学者の中でも冬眠に対する見解はずっと変化を続けてきました。今回の研究によって地球上で最も過酷な冬を乗り越えるための戦略を持った新しい動物グループが登場してきたといえそうです。
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魚ならずとも人間も冬寒い時は冬眠したいと思うのですが・・・。
ところで魚を冬眠状態にして保存する技術を開発したというニュースはフィリピンやら韓国やらでちらほらあるようですね。水なしで大量に輸送して現地で目覚めさせることができれば新鮮獲れたての魚が食卓に上るというわけです。凍らせたものよりおいしいという話もありますが、味的にはどうなんでしょうか。
ちょっと古めですが冬眠つながりの気になる
ニュースを見つけました。ロシアはモスクワ動物園で飼育されている褐色クマのオスの子グマはすでに目を覚まして穴から這い出て走り回っているとか。クマたちは普通3月中旬より前に冬眠から目覚めることはないはずなんだそうです。しかし昨年に続く異常な暖冬のせいで彼らのリズムも狂ってしまっているようです。自分の周りは比較的普通の冬らしかったのですが欧州は暖冬だったようですね。
海洋大図鑑
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