メキシコのウォーター・モンスターを保護せよ!・・・という話

うおみ

2008年10月31日 16:21

こんなニュース見つけちゃいました。

ニュースの概要だけ紹介しています。詳しい話はこちら(キュートな魚の写真が載ってます。)
MEXICO CITY Oct. 28, 2008 azcentral.com

偉大なアステカの湖にはヌルヌルした尾と鳥の羽のようなエラを持ちあやしく微笑んでいるような口をしたモンスターが住んでいました。

そのモンスター axolotl(アホロートル) はまたの名を「ウォーター・モンスター」「メキシカン・ウォーキング・フィッシュ」として知られ、アステカの伝説の中で、そして食料として重要な位置を占めていました。

アホロートルは今でもメキシコシティにある Lake Xochimilco(ソチミルコ) 湖の都市部に広がった汚れた水路で生き残っているのです。

科学者達はこの生物を絶滅から救おうと必死だといいます。というのも湖の埋め立てに伴って水質の悪化で激減が進んでいるうえに最後の打撃として外来種の攻撃にさらされているためです。

アホロートルは絶滅危惧種に指定されており、研究者はあと5年で姿を消す可能性があるとしています。アホロートルの絶滅は生物多様性の喪失だけではなくメキシコの文化を失うことにもつながり、かつてすばらしかった湖の衰退を反映していると Autonomous University of Mexico(メキシコ自治大学) の生物学者 Luis Zambrano 氏は語っています。

アホロートルの生息数ははっきり分かっていませんが、Zambrano 氏らが投網を使って調査した結果によると1998年には1マイル四方におよそ1500匹いたものが今年は25匹までに減少しているそうです。

メキシコシティができた頃アホロートルは Xochimilco(ソチミルコ) と
Chalco(チャルコ) という大きな湖にたくさん生息していました。

伝説によると、Xolotl(ショロトル) という犬の頭をしたアステカの死の神が他の神から追放され殺されるのを恐れてアホロートルに姿を変えソチミルコ湖に逃げ込んだとされています。

アホロートルの減少が始まったのはスペイン人たちが湖の埋め立てを始めてからだといいます。1970年代にはチャルコ湖は洪水対策から完全に埋め立てられ1980年代にはメキシコシティは残ったソチミルコ湖の水路や潟に排水を流し始めました。

約20年前に African tilapia(ティラピア) がソチミルコ湖に導入され、それが今では Asian carp(アジアン・カープ) とともに湖を席巻しつつあり、アホロートルの卵を食べたりエサの取り合いをしている状況です。さらに近隣の農場から流れ出る農薬や下水による汚染も生存を脅かしているのです。

これまで科学者の間ではアホロートルの保護の仕方で意見の食い違いがありましたが、どうにかこの3-6ヶ月の間に試験的なサンクチュアリを作る方向でまとまりつつあるようです。

Zambrano 氏はソチミルコ湖の水路に15ヶ所以上のサンクチュアリを作り外来種が侵入しないよう何らかのバリアを設置することを提案しています。カープがいなければ水は澄みアホロートルの繁殖に必要な水草も繁茂すると Toronto Zoo(トロント動物園) のキュレーター Bob John-
son 氏は語ります。

Chapultepec Zoo(チャプルテペック動物園) でメキシコシティ政府のアホロートル・プログラムに携わる獣医師 Erika Servin 女史は研究所で飼育したアホロートルを水路に導入できるかどうかについて研究しています。しかし病気や同系交配によって起こる遺伝子の問題の可能性などをクリアするためさらなる研究が必要だとしています。

サンクチュアリ計画には困難も付きまといます。というのも何百人という人々がソチミルコ湖に依存しているからです。水路でティラピアを捕り、花や野菜を栽培している人がたくさんいるのです。魚を駆除したり汚染の元となる農場を閉鎖したりすれば強硬な反対を招く可能性があるのです。

議論が続く間にも時間はなくなっていく一方です。Johnson 氏は何とかアホロートルを生き残らせる手助けをしたいと語ります。

◆◇◆
1980年代に一世を風靡した「ウーパールーパー」はアホロートルのアルビノ個体で、この名前は日本の商標なのだそうです。あの姿と色は強烈なインパクトがありましたよね。またその再生能力はすごいものがあり、肢1本失っても1ヶ月くらいで元に戻るのだとか。研究者もその能力に早くから着目し100年以上も前から実験用として飼育繁殖されてきたそうです。詳しいことは AllAbout 「ウーパールーパー」に詳しいです。

ウーパールーパーとは関係ありませんがすごそうなニュースを見つけました。名古屋の庄内緑地公園のボート池が真っ赤な浮き草で覆われ異様な光景が広がっているそうです。この浮き草はアカウキクサ科の一種で2年ほど前から繁殖し始めたとのこと。冬には消えるそうです。









絶滅危惧動物百科 6











水のリスクマネージメント 都市圏の水問題










関連記事