2008年09月08日
貝の養殖は環境に影響を与えるのか?・・・という話
こんなニュース見つけちゃいました。お魚ニュースといいつつ本日の主人公は大きな貝です。
ニュースの概要だけ紹介しています。詳しい話はこちら
September 6th, 2008 The News Tribune
ワシントン州 Pierce County(ピアース郡) では Geoduck(アメリカナミガイ) の養殖が Puget Sound(ピュージェット・サウンド) の干潟とそこに住む生物たちに悪影響を及ぼすのではないかと問題になっているそうです。
郡当局はこの醜いながらも有益な巨大貝の養殖に伴って許可申請を取るよう業者側に伝えた模様です。通知では業者は申請を取りやめるか、養殖を続ける場合事業計画を修正して環境レポートを提出し特別に環境に配慮していることを示す、もしくは郡のアセスメントに反論する科学的証拠を提出するかどちらかを行う必要があるとしています。
Coalition to Protect Puget Sound Habitat などの環境団体は1年以上もピアース郡に対してナミガイ養殖業者に対する十分な環境査察を要求してきたといいます。メンバーは集中的な貝の養殖は海岸線や魚及び野生生物に害を与えると主張しています。
ナミガイの養殖は何千というプラスチックのチューブやネットで砂浜を覆いつくす方法が採られています。これは稚貝を天敵から守るために行われるのですが、周辺の人々の中には見苦しいと苦情を言う人もいます。
この決定を下す前に郡当局の関係者はナミガイ養殖が与える影響に関して多数の論文やレポートを参考にして次の3点を問題点として挙げました。まず野生のナミガイの遺伝子プールが汚染される可能性があるという点です。もし限られた遺伝的遺産しかもたない孵化場育ちの何百万個もの貝に砂浜が席巻された場合、野生種の遺伝的多様性は損害を受ける可能性があるというのです。遺伝子プールが狭くなると野性のナミガイの生存が次第に脅かされてくる、と郡当局の決定の作成にかかわった生物学者 Dave Risvold 氏は語ります。
2点目はナミガイを収穫するときに埋もれている毒素がリリースされるという可能性。Risvold 氏によると貝を収穫することで堆積物中の群生に変化をもたらすことは確実とのこと。心配されるのは赤潮を引き起こす自然発生的な藻が広がることで、これは人間に麻痺などを起こす貝毒の原因となるものです。
3点目は養殖を行っている砂浜に生息する他の生物達にダメージを与える危険性です。生物への影響という面では影響のある、なしに関して様々な議論があり「用心し過ぎるくらいがちょうどいい」という考えに基づき盛り込まれたとのこと。
対する養殖業者には動揺している様子は見られないようです。最大手
Taylor Shellfish Farms のスポークスマンは静観して今後どうなるか様子を見守ると語ります。またこの通告によって会社側が郡当局の疑惑を晴らす科学的調査報告を提出する機会ができたとも語っているそうです。
同社については月曜日から Olympia(オリンピア) の第一審裁判所で法廷闘争が開始される模様です。
◆◇◆
アメリカナミガイはスシや刺身で有名な超高級品ミルクイの代用食材としてよく使われているようですね。コリコリした食感と独特の甘味が美味しい貝とのことですが、見た目はかなりインパクト大ですね。これの養殖ってかなりすごい光景なのかも・・・。ちなみにミルクイは日本では瀬戸内海や東京湾など内湾に多い貝だそうですが今や絶滅の危機に直面しているそうです。
二枚貝とは関係ありませんが秋を感じるニュースを見つけました。昨日東京は目黒で第13回目の「目黒さんま祭り」が開催されたそうです。準備されたのは岩手県宮古漁港直送のさんま、その数6000匹。その場で炭火焼にされるうえ栃木県から直送の大根を使ったおろしに徳島県産のすだちを加え、おまけにべったら漬けのサービスもあったとのこと。富くじや阿波踊りなど新しい趣向も加わり実行委員会によると昨年より2000名ほど多い来場者だったそうです。
いよいよ秋の味覚の登場ですね。


貝毒プランクトン 生物学と生態学



寿司ガイドブック 英語訳付き

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September 6th, 2008 The News Tribune
ワシントン州 Pierce County(ピアース郡) では Geoduck(アメリカナミガイ) の養殖が Puget Sound(ピュージェット・サウンド) の干潟とそこに住む生物たちに悪影響を及ぼすのではないかと問題になっているそうです。
郡当局はこの醜いながらも有益な巨大貝の養殖に伴って許可申請を取るよう業者側に伝えた模様です。通知では業者は申請を取りやめるか、養殖を続ける場合事業計画を修正して環境レポートを提出し特別に環境に配慮していることを示す、もしくは郡のアセスメントに反論する科学的証拠を提出するかどちらかを行う必要があるとしています。
Coalition to Protect Puget Sound Habitat などの環境団体は1年以上もピアース郡に対してナミガイ養殖業者に対する十分な環境査察を要求してきたといいます。メンバーは集中的な貝の養殖は海岸線や魚及び野生生物に害を与えると主張しています。
ナミガイの養殖は何千というプラスチックのチューブやネットで砂浜を覆いつくす方法が採られています。これは稚貝を天敵から守るために行われるのですが、周辺の人々の中には見苦しいと苦情を言う人もいます。
この決定を下す前に郡当局の関係者はナミガイ養殖が与える影響に関して多数の論文やレポートを参考にして次の3点を問題点として挙げました。まず野生のナミガイの遺伝子プールが汚染される可能性があるという点です。もし限られた遺伝的遺産しかもたない孵化場育ちの何百万個もの貝に砂浜が席巻された場合、野生種の遺伝的多様性は損害を受ける可能性があるというのです。遺伝子プールが狭くなると野性のナミガイの生存が次第に脅かされてくる、と郡当局の決定の作成にかかわった生物学者 Dave Risvold 氏は語ります。
2点目はナミガイを収穫するときに埋もれている毒素がリリースされるという可能性。Risvold 氏によると貝を収穫することで堆積物中の群生に変化をもたらすことは確実とのこと。心配されるのは赤潮を引き起こす自然発生的な藻が広がることで、これは人間に麻痺などを起こす貝毒の原因となるものです。
3点目は養殖を行っている砂浜に生息する他の生物達にダメージを与える危険性です。生物への影響という面では影響のある、なしに関して様々な議論があり「用心し過ぎるくらいがちょうどいい」という考えに基づき盛り込まれたとのこと。
対する養殖業者には動揺している様子は見られないようです。最大手
Taylor Shellfish Farms のスポークスマンは静観して今後どうなるか様子を見守ると語ります。またこの通告によって会社側が郡当局の疑惑を晴らす科学的調査報告を提出する機会ができたとも語っているそうです。
同社については月曜日から Olympia(オリンピア) の第一審裁判所で法廷闘争が開始される模様です。
◆◇◆
アメリカナミガイはスシや刺身で有名な超高級品ミルクイの代用食材としてよく使われているようですね。コリコリした食感と独特の甘味が美味しい貝とのことですが、見た目はかなりインパクト大ですね。これの養殖ってかなりすごい光景なのかも・・・。ちなみにミルクイは日本では瀬戸内海や東京湾など内湾に多い貝だそうですが今や絶滅の危機に直面しているそうです。
二枚貝とは関係ありませんが秋を感じるニュースを見つけました。昨日東京は目黒で第13回目の「目黒さんま祭り」が開催されたそうです。準備されたのは岩手県宮古漁港直送のさんま、その数6000匹。その場で炭火焼にされるうえ栃木県から直送の大根を使ったおろしに徳島県産のすだちを加え、おまけにべったら漬けのサービスもあったとのこと。富くじや阿波踊りなど新しい趣向も加わり実行委員会によると昨年より2000名ほど多い来場者だったそうです。
いよいよ秋の味覚の登場ですね。
貝毒プランクトン 生物学と生態学
寿司ガイドブック 英語訳付き
Posted by うおみ at 17:46│Comments(0)
│お魚ニュース
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